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「引き寄せの女王」と呼ばれて パート4

生前、坂口良子さんのファンだった私は、最近の一連の出来事を通じて密かに胸を痛めていた。「彼女は今頃、天国で泣いていらっしゃるのだろうか」と悲痛な気持ちになりお友達に思いの丈をぶつけていた。

 

そんなことを漠然と考えていたら、程なくして天国の母が夢の中にリアルに現れた。私の隣に座る母は私を見つめながら号泣していた。

 

なんのことはない、天国の母を泣かせているのは紛れもなく私だった。芸能ニュースにうつつを抜かしている暇などない。目の前の自分がやるべきことをきちんとやるようにという警告のようだった。

 

思い返えせば、私は母の望み通りに生きるよう努力をしてきたつもりだった。そのせいだろうか、私は試験運がやたら良かった。

 

受験をしたのは人生において2回。私学の小学校受験と大学受験だった。そしてどちらもありえない偶然のおかげで合格した。

 

美智子様に憧れた母は私を東京の聖心女子大学に入れたかったようだ。だから推薦でエスカレート式に入れるよう小学校を受験させた。

 

テストを終えて帰ってきた私に母は、どんな内容だったかを訊いた。そして合格を確信したようだ。

 

それは試験が「いやいやえん」という本から出題されたからだ。私は試験の半年も前から毎日のように「いやいやえん」を読んでいたので当時丸暗記していた。

 

でも私は、合格したのは聖心の創立者の聖マグダレナ・ソフィア・バラと同じ誕生日からではないかと密かに信じている。だから将来は教育に関わることをするのが使命なのかもとそれ以来ずっと思い続けているのだ。

 

高校生になると大学ぐらいはせめて共学に行っておかないと社会的にうまく立ち回れなくなるのではないかと焦りだした。

 

なにせ「英語で論破するのが夢」という志を持っていた私は自分がガールであることを忘れ「Boys, be ambitius」という言葉に胸の高鳴りを抑えられずにいた。

 

やはりサムライ・スピリットを発揮すべく、ここは潔く「推薦という選択肢は無くさなければならない」と強く誓った。

 

いずれにせよ、学校の成績より受験勉強を優先させ始めたので推薦は難しくなることを予測していた。そこで、母にも推薦ではなく受験にフォーカスすると伝えた。

 

せっかく小学校から小林聖心に行かせたのに、その意味が無くなってしまったことを母は大いに落胆した。それならばどうしても神戸女学院大学に入って欲しいと懇願された。

 

当時住んでいた場所から近かった神戸女学院大学はなかなか敷居が高かった。中学校から入学された方は東大や京大に進学される方も多い。しかも名前の通り女子校なのでいろんな意味でためらいがあった。

 

でも学校にある受験生のための部屋になぜか神戸女学院大学の願書が置いてあったので、これもご縁だと思って受けることにした。

 

地元に残りたい気持ちを優先させて近くの大学に合格した先輩に相談に乗ってもらったところ、過去に使っていた10冊近く参考書を全部譲って下さった。

 

英語、世界史、現代文など多岐にわたるが、そのうち古文の参考書がやけに目を引いたので、真剣に向き合った。と言っても、最初の1問は舐めるように解き、丸暗記するほどだったが後の10数問は全く手をつけずにほったらかしだった。

 

すると!なぜかこの古文の問題が試験に出たおかげで合格したのだ。これぞ引き寄せ、今、振り返っても全くもって不思議としか言いようがない。

 

私は生まれ持って幸運の星の元に生まれてきたのだろうか。正直、今までそうやって調子に乗っていたところも否定できない。でも今振り返るとやはり母の私への愛がそうさせたとしか思えないのだ。

 

私は母から本当に愛されていたと思う。母が生きていた頃はなかなか100%はそう思えなかった。自分が思いつく方法で親孝行はしてきたつもりではいたが、やり残したことの方が圧倒的に多い。

 

幸い、今、健康な私はまだできることがたくさんある。まだ遅くはない、今度こそ夢に満面の笑顔の母が出てくるよう、少しでも母が喜ぶような生き方をしたい。