しつこい「怒り」への対処法

お正月明けに尊敬する先輩とランチをした。その方は「私の人生を変えるプロジェクト」に誘って下さった恩人でもある。

 

いつもおごってもらってばかりだったので、心ばかりのお礼にランチをごちそうしたかった。

 

久々に会った先輩はお仕事もプライベートも充実しているようだ。

 

中でも印象的だったのは、随分前に亡くなられた世帯主に変わって、母国の親御さんに家を建てて差し上げたというお話だった。

 

一つ大仕事を終えた先輩は、来年にはご自身も今のお相手と落ち着かれる予定だという。

 

先輩と出会ってもう10年以上経つので感慨深くて涙が出そうになった。

 

先輩とは共通の友人を介して知り合ったが、彼らが帰国した後、しばらくは連絡を取っていなかった。

 

数年前、プロジェクトに必要な人材を探しているということで、再び共通の友人から連絡があって引き受けることにした。

 

当時、軽い気持ちで関わったプロジェクトは、予想を遥かに上回る大変さで、何度も逃げ出したくてしょうがなかった。

 

先輩には対面でもチャットでもありとあらゆるフラストレーションを投げかけたが、いつも持ち前のスマートさで善処して下さった。

 

思い起こせば、私は先輩の中に「父親」を見ていたようだ。

 

(私も 実家の父親に恩返しができるのだろうか)

 

父親への恩返しは常に念頭にありつつも、いつも後回しになっていた。

 

そんなことを考えていた矢先、友人のお誘いで瞑想のワークショップを受けた。

 

一度先生にお会いしている友人によると、とてもステキな先生らしくオススメだという。

 

ブルガリア出身の先生はヒーリングを得意としており、白地に赤い小花柄のワンピースがよくお似合いだった。

 

瞑想を始めるにあたり、まずはセージでお清めをするらしい。

 

こういうワークショップに来たら、基本、私は「まな板の上の鯉」状態で「諸々お任せ」というスタンスをとる。

 

人生は一度きり、何でも試してみたいことは試したい。

 

今回も白紙で挑んだのだが、最初から頭痛がして眠ってしまった。

 

正直なところ、だいたいこの手の瞑想ワークショップに参加すると終始、睡眠学習となる。

 

それでもみんな癒しを得意とする人達ばかりなので「睡眠学習の方が脳にダイレクトに吸収されるから良いよ」と暖かく笑顔で励まされる。

 

どうやら「高次元の波動にチューニング」をしているらしく、それに慣れていない人は頭痛がするらしい。

 

先生はいろいろと説明をしていたけれど、睡眠学習真っ只中で、誘導瞑想が始まった。

 

色をイメージングしながら取り入れたい感情などについて瞑想する。先生がおっしゃっていることは実に真っ当だった。

 

頭痛と眠気で朦朧としながら私が記憶しているのは「喜び」についてのセッションだった。

 

先生が「喜び」を吸って吐くようにと誘導している。

 

ところが私の心の中には「怒り」しかないのだ。どんなに「喜び」をイメージしようとしても「怒り一色」なのだ。

 

終わってからみんなは感想を述べた。身体中が「喜び」に満たされて楽しかったらしい。

 

頭痛、眠気、エアコンの寒さに耐えながら私は先生に率直に伝えた。

 

「『喜び』どころか『怒り』しか湧いてきません。」

 

みんなが帰った後も先生と友人と3名で質疑応答する時間を持った。なんとなくその場は納得した。

 

通常、1日目で不調の場合、2日目はお休みをするのだが、今回も悩みに悩んで2日目はお休みした。

 

(こんなにも長い間ヒーリングをしているのに、まだ手放せない感情があるなんて)

 

「怒り心頭の自分」に対しても「怒り」が止まらない。

 

朝から具合が悪く、お腹も痛ければ、食欲もない。もう寝るしかない。

 

いろんな夢を見た。カラフルな夢、楽しい夢、焦る夢、心配になる夢。。。

 

中でも一番強烈だったのは父親の夢だった。

 

私の部屋のレイアウトが父によって勝手に変えられている。そこにあるべきものが見当たらない。

 

私は全身全霊で「怒り」を感じていた。

 

目が覚めて、相変わらず、具合が悪く、お腹も痛ければ、食欲もない。

 

でもこれ以上寝るのも疲れる、ということで起き上がる。

 

どうやら、しつこい感情は夢の中で手放されるらしい。

 

父親の夢、これはとても象徴的だった。父親のお陰で成長できた自分と、父親の思惑の中で思い通りに生きられない、そう信じていた自分。

 

今となってはどうだろう。母国から遠く離れ、好きなように生きている。にも関わらず私の心の奥底は当時の私の「念」に束縛されたままだったのだ。

 

自分でわかってはいるものの、目を背けたい感情は、奥底に追いやられたまま、陽の目を見ることをしらない。

 

それでも「怒り」に向き合い、「怒りを手放す」と決めた瞬間に、解決策が降ってくるのだ。

 

「夢の中で手放す」、なんとも受け身に聞こえるが、人生が良くなるのなら、手段を問いてはいられない。

 

振り返ると「悲しみ」、「恐れ」、「嫉妬」、「怒り」を順番に意識的に手放しているのがわかった。

 

今年こそはもっと父親に親孝行できる年にしたい。