コメディアンへの道 パート1

シンガポールに温泉ができた。日本人が経営しているので日本的だと評判である。

 

シンガポール人のコメディアンも早速行ったらしく体験談をシェアしてくれた。

 

「行くと小さなタオルを貸してくれるんだけど、正方形なんだよねぇ。しかもどうも小さいんだけれど」と話してくれた。

 

確かに日本では長方形なので、体の大きな男性が小さなタオルと戯れている格好を想像するだけで笑える。

 

「みんな堂々と隠さずにいるけど、やっぱり人の目が気になってなんとなく隠そうとしてしまうんだよね、こんな風に。」

 

と言うと、人がいる方向に合わせて小さくて四角いタオルで大切な場所を隠し、目線をブロックしようとしている仕草をかわるがわるポーズを変えて再現してくれた。

 

さすがはコメディアン。どんなポーズをとっても表情豊かでオモシロイ。ユーモアにあふれていてウケてしまう。

 

お友達と行ったらしく、男同士で思う存分湯船に浸かって温泉を満喫したそうだ。

 

ただしばらくしてどうしても気になることがあったらしい。それは男性がバスタブを出入りする度にちょうど目線の高さにくる他の男性のそれである。

 

「しばらくして友達が言うんだよね〜。」

「なんて言ったの?」

「ここってコックフェスティバルみたいだって。」

「(爆笑)」

 

そう、やはり英語でコックとはニワトリというよりもついそれを連想させてしまうらしい。

 

そんなこともあってか、酉年の今年、私は「Year of Cock」という表記を見て即座に大ウケした。彼の言う「コックフェスティバル」を連想したのだ。

 

「酉年って英語でYear of RoosterだけどYear of Cockという英訳も間違いでは無いよね?!」

 

自分の感覚に自信が持てずにいた私はコメディアンの彼になら打ち明けられる気がして思い切ってたずねた。

 

「Year of Cock!!!! (大爆笑)」

 

やっぱりオモシロかったらしい。良かった、新年早々、仲間を見つけた安堵感に浸った。

 

「うーん、でもそう言って私がそんなことばかり考えている人と思われても困るし。」

 

「(笑いながら)ただやっぱりその意味合いが強いのは確か。」

 

なるほど、いつまでもぶりっこしていてはいけないと強く反省したエピソードとなった。

 

数日後、コメディアンの彼からメッセージがあった。

 

「時間があったら聴いて〜」

 

なんとそれは「Year of Cock」をネタとした自作の歌だった。コメディアンはプロの音楽家でもあるので普通に出来映えが素晴らしい。

 

これでもかと言わんばかりに何度も繰り返される「Cock」が頭の中を埋め尽くす。しかも耳に焼き付いて離れない中毒性のあるメロディー。

 

これぞまさにコックフェスティバル以外のなにものでもなかった。

 

しかも彼の情熱はとどまることをしらない。なんともうすぐ動画も完成するらしい。

 

「こないだあなたのことについてブログに書いたけど大丈夫だった?」と伝えると「僕のことだったら何でも書いて良いよ〜。」と言ってくれた。

 

コメディアンになるにはこれくらい寛大でなくっちゃ。動画が出たら早急にシェアしよう。