英語でウケるには

海外生活も長くなると、外国人から日本の「秘密」を教えて頂くことがある。

 

先日も親日家とお話をしていた時のこと。日本で出会ったお気に入りの商品を母国に持ち帰って販売しようとしたらしい。

 

意気揚々と検査機関に持ち込むも、公的機関で成分を調べてもらったところ、即破棄するように言われたそうだ。

 

「なぜか世界では禁止されているのに日本でだけ認められている成分があるんだよね〜。不思議だけど。」

 

シリアスな顔をする彼に向かって私はこう言った。

 

「だから日本人は長生きなんだね♫」

 

「(一同爆笑)」

 

本当のところを言うと、(「世界では禁止されているけれど日本では許可されている」とはどういうことなのか)内心、凍りついていた。

 

とはいえ、その場にいたのは私以外、全員外国人である。ともすれば同情を誘い深刻な話になりかねない。が、そうなったところでどうしようも無い。

 

「笑いは大いなる癒しをもたらす」を実感した瞬間だった。

 

7才の時に私は「コメディアンになりたい」という夢を描いた。夢は全部叶えたいと気持ちを新たにした矢先、コメディアンと一緒にお食事をする機会に恵まれた。

 

「早めにディナーが終わったらデザートも食べに行こう!」

 

「デザート♡♡♡♡♡」

 

ディナー後のアポまで時間が無いと思っていたのにディナーを早く済ませればデザートを食べられるなんて!!

 

まさかデザートがこんなにもモチベーションをアップさせるとは気が付かなかった。瞬く間にディナーを終えた私にコメディアンはこう言った。

 

「ものすごい早食いでびっくりしたわぁ、軍隊のトレーニングかと思った笑」

 

「(笑)(恥)」

 

それ以来、彼はことあるごとに私に向かって「早食い」と言う言葉を繰り返すようになった。

 

「別に早食いはワルいことじゃないよ」

 

「早食いしなくていいように最初からデザートがおいしいところで食事をすれば良かったね」

 

「今日も早食いしてるの?」

 

などなど枚挙にいとまが無い。その度に恥ずかしくもウケにウケてしまう。

 

ある時、私はどうしても耐えきれず「実は7才の時からコメディアンになるのが夢だった」と告白した。

 

コメディアンにそんなことを言ったらどう思われるだろう、ますます笑いモノにされるに違いない。

 

そう疑わず信じていたところ、意外にも心優しく爽やかに教えてくれた。

 

「まずは自分の短所について、自分でネタにして笑いとばすこと。先に自分で自分の短所を笑っている人に対して他の人はイジれなくなるから。」

 

「なるほど〜、確かに!」

 

「実はこれは学校でいじめられるのを防ぐ意味にもなるんだよね。」

 

「おぉぉぉ、それは奥が深い。」

 

「自分をネタにした後には他人をネタにする。」

 

「へぇ〜!」

 

「だからこれからもずっと早食いって言うからね。」

 

「(笑)(恥)」

 

おかげさまでゆっくり食べる習慣が身に付き、体調もすこぶる良くなるというオマケにも恵まれている。