ラーメンデートについて (2)

「久し振りにラーメン食べたい♡」そうブログに書いたら早速実現した。やはり持つべきものは情報通で流行に敏感なステキ女子友である。


言うまでもなく相変わらず「男性とのデート」な部分は見事に欠落していたが、予行演習ということでここにレポートを記したい。


シンガポールにおける日式ラーメン事情について現地の方は非常にお詳しい。タイムリーな情報に精通しており驚くばかりだ。なんでも最近新しいラーメン屋さんがオープンして行列ができるほどらしい。


「並ぶから11時に現地集合ね」とメッセージが入る。なんと、異国の地シンガポールで日式ラーメンを食べるために並ぶなんて、かつて私の人生においてそんなことはあっただろうか。竜宮城にいるかのように過ぎていく当地での時日において人生の数ある日常のできごとは忘却の彼方、思い出すことすらできない。


駅から歩いてオーチャードのISETANの隣に位置するパシフィックプラザシンガポールに着くと早速、ラーメン屋さんの前で長蛇の列。その位置から1時間は並ぶそうだ。これは本格的である。

 

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そのラーメン屋さんの名前は「Japanese Soba noodles 蔦(つた)」なんとラーメン屋さんで世界初ミシュラン一つ星をゲットしたそうだ。初日は午後2時の開店時間に合わせて朝8:30から行列ができたらしい。

 

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パシフィックプラザシンガポールには「Japanese Soba noodles 蔦(つた)」を含むとミシュラン付きレストランが3店舗並ぶ。他の2店舗は飲茶の店「Tim Ho Wan(添好運)」と同じくシンガポールではダックで有名な「Kam's Roast Goose from Hong Kong」でどちらも香港が発祥の地である。

 

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「Japanese Soba noodles 蔦(つた)」はラーメンなのに「そば」と呼ばれている。並んでいる間にメニューに目をやるとしょうゆ味と塩味の2種類があったので1種類ずつ選ぶことにした。


なんでもミシュラン認定を受けたのはしょうゆ味らしいが、何かにつけて「スピリチュアル」を意識する私は沖縄の海とモンゴルの岩からとれた塩で浄化されたい気分で塩味を選んだ。


1人で並ぶ日本人の姿も見受けられるが、女子友のおかげでお互いの近況報告をしているうちに1時間はあっという間に過ぎ去った。ウィンドウから覗くとカウンター席が18席。シンガポール人、西洋人、日本人とお客様の顔ぶれは様々だ。


とうとうお店の中に入ってエアコンにありつける。創業者のサイン入り本があるのでサラッと読む。日本の良い物を世界へというモチベーションがありありと伝わってくる。


タッチパネル式自販機で好きなラーメンを購入する。ベースは麺だけであるが、ゆで卵やチャーシューののったライスなども追加できる。お茶は麦茶だった。


空いたカウンターを案内されるとトレイにお箸置きに乗せられたお箸とレンゲがお上品に並ぶ。ラーメンを食べるとデフォルトで汁を飛ばす私にとっては緊張感が増す一瞬である。


カウンター越しにスタッフが忙しそうにラーメンを用意するのが見える。さすがミシュラン、ユニフォームのデザインにも品がある。


いよいよ待ちに待ったラーメンが登場!チキンとあさりのスープに高級素材トリュフのアロマが漂う。麺は毎日手づくりされるそうだ。

 

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♡☆♡☆♡☆♡おいし〜い♡☆♡☆♡☆♡


グリーンオリーブも添えられてなんとも洗練されたネクストステージなお味。中国から日本に渡ったラーメン。長い年月を経て伝統的な東洋のお味と西洋のテイストが織りなす味のハーモニー。さらにそこから生み出されたヒュージョン。奥が深い。


お隣のローカルの方と思われる男性がなんと音を立てて食べている。その雰囲気からかなりラーメンを食べ慣れている様子。おかげで私も安心して音を立てて頂くことができた。


「 輝きだした私たちな〜ら〜、いつか明日をつか〜むだ〜ろう」という懐かしいメロディーが流れる中、一瞬ここは日本かと錯覚する。シンガポールでまさか15ドルでこんなにクオリティーの高い日本のラーメンを食べられる日が来るなんて予想だにしなかった。


五感を活用しフルでエンジョイした結果、大きな達成感を味わう。ラーメンってやっぱり美味しい〜♡、特に1時間待った後なのでより感慨深い。待つことも味わいを増す秘訣であることに間違いない。


感動に打ちひしがれ感想を述べあっている時、トレーを下げられてふと我にかえる。そうだった。ここはレストランの外で余裕で1時間は待つお店。用が済んだらとっとと外に出なければいけなかった。


お店に入ってから出るまでの所要時間は約17分。次のアポまで余裕で1時間以上ある。ランチはちょっと少なめにしてデザート店へ向かうべくそそくさとその場を後にした。


ふとスカートに目をやるとあんなに入念にお上品に食べたはずにも関わらず幾つか汁と思しき点のようなものが見つかったのだけは今でも不思議な謎のままだ。


続く