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「引き寄せの女王」と呼ばれて パート1

「人手が足りないから誰かにお手伝いしてもらう必要がありますね、とちょうど3日前に話をしていたところだったんですよ」というタイミングで面談をして今後さらにお仕事を頂く流れができた。いつもこんな調子なので最近は「引き寄せ」という言葉すら発しなくなっている。もう日常茶飯事すぎるのだ。

 

「引き寄せの法則」について初めて知ったのは2007年。あれからもう9年経つなんて信じられないほど時が経つのは早い。それはシンガポールで受けたNLP(神経言語プログラミング)を学ぶセミナーでのことだった。「パターンズ・オブ・エクセレンス」という名称で、アンソニー・ロビンスを敬愛されている人気講師、アダム・クーさんから成功者に共通するパターンを学ぶというもの。その中で「Law of Attraction(引き寄せの法則)」について紹介して下さったのだ。

 

ご存知の方も多いので今更説明するまでもないだろう。ざっくり言うと「見て、聞いて、感じるとその思いがそのまま現実になる」という法則だ。これだけ聞くと眉唾に思えるが、そう言われてみると、当時、既に自分にも思い当たる節があった。

 

私は何を隠そうアルフィーの大ファンである。9才の時に「なんかゆみちゃんに似た人がテレビに出ていたよ」と言われて気になって見たのが高見沢俊彦氏だった。「男の人に似ているってどういうこと?」とまだ幼い私はショックを隠しきれなかったが、高音で「恋人たちのペイブメント」を歌う彼の美声に一聴き惚れをしてしまった。

 

それからというもの聴く楽曲は基本、アルフィーばかり。ファンはアルフィーマニアと呼ばれるのだけれど命名した人はすごいと思う、本当にマニア化してしまう。学生の頃から日本各地のコンサート会場に足を運んだけれど、いつも後ろの方の席になることが多くて、でもまあそんなものかなぁと自分のチケット運については半ば諦めていた。

 

アルフィーは老舗バンドなので定期的にイベントが行われる。シンガポールに来てからなかなかコンサートに足を運ぶ機会がなかった私を励まそうと妹から「一緒にコンサートに行こう!チケットの手配は私がするから」という連絡があった。

 

35周記念の夏のイベントが開催される年だった。そこから数えてもかなり前の学生の頃、まだ小さな妹を東京ディズニーランドに連れて行った帰り、横浜の赤レンガ倉庫で行われたアルフィーの夏のコンサートに一緒に行った記憶がある。その年はなぜかベンチがなく、オールスタンディングだった。そんな時に限ってコンサートの3時間半の間妹は爆睡。高見沢さんが花道で近くまで来た瞬間、私の雄叫びにつられて目を覚まして一緒に手を振った以外はずっとおんぶをしていたというさながら筋トレも兼ねた夜の思い出が蘇る。

 

そんなことを思い出したせいか否か妹が珍しく親切に思えたのできっと良い席が当たるかなと幸せな気分に浸った。目を閉じれば何度も動画で観たステージが目の前にありありと迫ってくる。何度聞いたかわからない彼らの楽曲、そして切ない歌詞の数々から浮かぶ胸に迫る思い。そんな妄想に耽っているとなぜか「A1、A2」という文字が浮かぶのだった。(そうだよねぇ、もうこれだけ長い間ファンでいるし、そろそろステージの前の席で観れたら良いよねぇ)とよだれを垂らしそうになりながら白昼夢は終わった。

 

しばらくして妹から連絡があった。「おねえちゃん、大変!コンサートチケット当たったんだけどね、A5の1と2って真ん前じゃない?!」と慌てふためく妹。「えっ?!」調べてみると、なんと!本当にステージの真ん前の席だったのだ。

 

なんと25,000人中から偶然、選ばれたようで「引き寄せの法則」の凄さを感じずにはいられない。やっぱりあの時の「見て、聞いて、感じる」は現実になったようだ。当日まで、妹とどんな格好をしていこう、万が一チケットをなくしたらどうしよう、間に合うかなとそわそわが止まらない。当日はなんとか無事に現場に到着。感動につぐ感動で心置きなく鑑賞し終えた。

 

ただ振り返ると一つだけ、惜しかったのはそのステージの真ん前の席が櫻井さん側よりで高見沢さん側でなかったということ。でも帰る頃には二人ともすっかり櫻井さんの透き通るような美声に魅了されてファンになっていた。

 

続く